お口の違和感と痛み
2026/09/04
「舌がピリピリ痛むのに、検査をしても異常がない」
「お口の中が乾いて不快でたまらない」
「噛み合わせにしっくりこず、どこで噛めばいいか分からない」
歯科医院で診察や検査を受けても「特に問題はありません」「様子を見ましょう」と言われ、つらい症状があるにもかかわらず困惑された経験はありませんか? このように、お口の中に目立った傷や大きな病気(器質的変化)が見当たらないにもかかわらず症状が続く場合、「歯科心身症(しかしんしんしょう)」が関係している可能性があります。
今回は、歯科心身症に関連する代表的な3つの症状について、その診断方法や治療のアプローチを分かりやすく解説します。
舌痛症
舌の先や縁などに、「ヒリヒリ」「ピリピリ」とした痛みや灼熱感(やけどをしたような痛み)、しびれなどが長期間(数週間〜半年以上)続く症状
歯科医師による診察でも、炎症や傷などの異常は見つかりません。また、食事中や何かに夢中になっている間は痛みが気にならず、一人でじっと過ごしている時に痛みが強くなる傾向があります。
40〜60代の中高年女性に多く見られます。
□□診断(検査)の方法□□
▶痛みの原因となっている器質的変化の有無を検査(採血など)により明らかにする。
▶唾液分泌量の低下やカンジダ菌の増殖は舌痛そのものの原因や痛みの増悪因子として働いている可能性があるため、除外診断を行う。
大切なことは「癌や潰瘍、感染症などの目に見える病気が隠れていないか」を慎重に確認します。また、カンジダ菌の繁殖や唾液不足、ビタミンや亜鉛、鉄などの欠乏症、糖尿病などが痛みを引き起こしていないかを検査し、ひとつずつ原因を除外していきます。あわせて、問診で日常のストレスや心理的な背景についても丁寧にお伺いします。
舌痛症の治療アプローチ
明確な傷や炎症がないため、一般的な痛み止め(鎮痛剤)は効きにくいのが特徴です。
薬物治療となれば、抗うつ薬や抗てんかん薬をはじめとした向精神薬による薬物療法と精神・心理療法が中心になります(精神科または心療内科へ対診)。痛みを伝える神経の過敏さを和らげるお薬(向精神薬など)の服用や、不安やストレスを軽減するための「精神・心理療法」を組み合わせて治療を行います。
口腔乾燥症の治療アプローチ
シェーグレン症候群や内服薬による影響がある場合はその対処療法を行いますが、ストレスや心理的要因が関係している場合は以下のような治療が主体となります。
精神・心理療法に加えて、ガムやキャンディーなどにより唾液分泌を促進するための対症療法が主体となります。 お口の乾きを和らげる保湿ジェルやキャンディーなどのケアと併せて、ストレス緩和を目指した心理的なサポートを行います。
咬合違和感症候群
被せ物や義歯(入れ歯)の治療をした後などに、「噛み合わせがどこかおかしい」「高い・低い気がする」「どこで噛んでいいのか分からない」と感じ続ける症状です。
歯科医師が客観的に確認しても噛み合わせに異常はなく、治療で修正を重ねても違和感が改善しないことが特徴です。
□□診断(検査)の方法□□
▶症状の原因となっている変化の有無、すなわち、咬合関係や補綴装置の状態、口腔周囲筋の緊張の有無などについて診査を行い、異常のないことを確認する。
まずは噛み合わせのバランス、被せ物の状態、お口の周りの筋肉の張りなどを順に調べ、「客観的に見て噛み合わせに問題がないこと」をしっかり確認します。その上で、抑うつ状態や不安などの心理的要因が隠れていないかを問診等で評価します。
咬合違和感症候群の治療アプローチ
患者の訴えに従った不必要な咬合調整を行うことは、症状の悪化や長期化・固定化につながるので厳に注意すべきです。
患者様の違和感に合わせて歯を削ったり噛み合わせを調整し続けたりすると、かえって症状が悪化・長期化してしまう危険性があります。そのため、安易な歯の切削は行わず、向精神薬を用いた薬物療法や、心理面からのアプローチ(精神・心理療法)を中心に改善を目指します。
お困りの方へ
お気軽にお問い合わせください
「本当に痛いのに満足に対応してもらえない」「通っても、通っても違和感が治らない」といったお悩みは、決して気のせいではありません。脳の神経の捉え方や、ストレスによるお身体の反応が関係しているケースが多く見られます。 当院では、お口の中の精密な検査(器質的アプローチや除外診断)を行うとともに、必要に応じて心理的な背景にも配慮したカウンセリングと適切な医療機関への橋渡しを行っております。一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。


