前歯部(審美領域)のインプラント治療
2024/10/31
前歯部における歯周硬組織、軟組織の喪失は審美的な期待度が大きい患者さんに対しては問題を複雑化する懸念事項です。 抜歯後の歯槽堤は唇側面、垂直面双方とも減少します。とくに抜歯後最初の3カ月での歯槽堤の寸法変化がもっとも著しいためインプラント埋入術を遅延することは理想的には避けるべきです。 歯肉、とくに歯と歯との間の歯肉はそれ自体を粘膜単独で再建できません。 インプラントの生着または初期の固定が確認された場合、段階的な骨造成を必要とします。 インプラント治療の限界の多くは審美的パラメータに関連しており、インプラント治療による審美的な回復は困難です。患者さんの審美的な期待や希望が大きければ大きいほどそのことを強調しすぎることはありません。
ITI Treatment Guide 6巻 D.Wismeijer,S.Chen,D.Buser より抜粋・引用
自験例
30代(初診時):主訴)前歯が痛い
自験例(本稿症例)のインプラント治療費
埋入インプラント本数 2本
項目 | 部位/(本数) | 金額(税率は2024年時点として計算) |
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骨造成 | ┻12/(1箇所) | ¥110,000 |
インプラント埋入術(Straumann) | ┻12/(2本) | ¥440,000 |
アバットメント+技工加算 | ┻12/(2本) | ¥17,600 |
プロビショナル | ┻12/(2本) | ¥22,000 |
ジルコニア(上部構造体) | ┻12/(2本) | ¥264,000 |
ガイドデント保証費 | ┻12/(2本) | ¥66,000 |
総額 | ¥1,078,000 |
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前歯部(審美領域)のインプラント治療 まとめ
インプラント治療は機能面および審美面の回復に有利です。しかしながら、抜歯による硬組織・軟組織の喪失にともなう審美性の喪失はブリッジ治療(修復治療)や入れ歯であっても起こることであり、インプラント治療をもってしてもこれは避けられません。インプラント治療における審美性の回復は、歯を失う前の健康な状態を完全かつ絶対的に戻ることを意味しません。インプラント治療であっても、治療効果に制限があることを強調しすぎることはありません。