医療法人翔陽会

前歯部(審美領域)のインプラント治療

お問い合わせはこちら 公式サイトはこちら

前歯部(審美領域)のインプラント治療

前歯部(審美領域)のインプラント治療

2024/10/31

前歯部における歯周硬組織、軟組織の喪失は審美的な期待度が大きい患者さんに対しては問題を複雑化する懸念事項です。 抜歯後の歯槽堤は唇側面、垂直面双方とも減少します。とくに抜歯後最初の3カ月での歯槽堤の寸法変化がもっとも著しいためインプラント埋入術を遅延することは理想的には避けるべきです。 歯肉、とくに歯と歯との間の歯肉はそれ自体を粘膜単独で再建できません。 インプラントの生着または初期の固定が確認された場合、段階的な骨造成を必要とします。 インプラント治療の限界の多くは審美的パラメータに関連しており、インプラント治療による審美的な回復は困難です。患者さんの審美的な期待や希望が大きければ大きいほどそのことを強調しすぎることはありません。

ITI Treatment Guide 6巻 D.Wismeijer,S.Chen,D.Buser より抜粋・引用

自験例

30代(初診時):主訴)前歯が痛い

病巣(骨の吸収)が大きければ大きいほど審美的な回復は難しくなる

自験例では、初診時すでにエックス線写真により大きな透過性の亢進(骨吸収)を認めます。患者さんは審美性の喪失を強く恐れておりました。患歯は発症から少なくとも4年が経過しており、患歯の保存治療は極めて難しいことを説明し根管治療または抜歯が適切と判断しました。患者さんはこの際抜歯・インプラントを希望されました。

治癒に相当の時間が必要である
そして、術後はメンテナンスが欠かせない

自験例では、インプラント治療期間は約6カ月、来院回数は12回です。その後、定期的なメンテナンスへ移行します。自験例のメンテナンスは対象期間(本稿記載時点)48カ月、来院回数37回です。インプラントの術後メンテナンスはすべて療養の給付の対象外(自費治療/自由診療)です。

自験例ではインプラント周囲炎への抵抗性と清掃性の観点からティッシュレベルを選択しました。ティッシュレベルは歯肉から金属色がのぞくことがあり審美性の回復に不利だとされています。ただし、審美領域に対してティッシュレベルを使用してはならないとする根拠はありません。

インプラント治療では機能面と審美面の両方の治療目標があります。当院では、インプラント治療においては過度に審美性の回復を患者さんに期待させるべきではないと考えています。失った硬組織や軟組織は程度の差こそあれ、完全にもとに戻るような性質の組織ではありません。硬組織や軟組織を喪失すると審美性もまた喪失することは明らかです。インプラント治療はあくまで欠損または上部構造体の支持機構であり、インプラント治療の治療目標の優先は機能の回復にあるとするのが当院の立場です。

自験例(本稿症例)のインプラント治療費

埋入インプラント本数 2本

項目
部位/(本数)
金額(税率は2024年時点として計算)
骨造成
┻12/(1箇所)
¥110,000
インプラント埋入術(Straumann)
┻12/(2本)
¥440,000
アバットメント+技工加算
┻12/(2本)
¥17,600
プロビショナル
┻12/(2本)
¥22,000
ジルコニア(上部構造体)
┻12/(2本)
¥264,000
ガイドデント保証費
┻12/(2本)
¥66,000
総額
¥1,078,000

前歯部(審美領域)のインプラント治療 まとめ

インプラント治療は機能面および審美面の回復に有利です。しかしながら、抜歯による硬組織・軟組織の喪失にともなう審美性の喪失はブリッジ治療(修復治療)や入れ歯であっても起こることであり、インプラント治療をもってしてもこれは避けられません。インプラント治療における審美性の回復は、歯を失う前の健康な状態を完全かつ絶対的に戻ることを意味しません。インプラント治療であっても、治療効果に制限があることを強調しすぎることはありません。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。